||| 四国の異能企業:アプロサイエンス バイオVBポスト・ゲノム(全遺伝情報)としてスポットの当たるたんぱく質の構造分析分野で、全国の大学や製薬会社などから注目されているバイオベンチャーが徳島県鳴門市にある。アプロサイエンス(金敦祚社長)がそれで、設立から十二年、時代の波に乗って株式公開も視野に入れ始めている。 ■2種類の分析看板にアミノ酸配列分析と質量分析(プロテオーム解析)―。たんぱく質の構造分析サービスを手掛ける同社の二枚看板だ。遺伝情報に基づいて作られ生命活動を支えるたんぱく質。その役割を解明し、新薬開発などにつなげていくうえで、どちらも欠かせない分析手法といわれている。 アミノ酸配列分析はその配列構造をひとつひとつ丹念に分析していく手法で、一方のプロテオーム解析は重量変化を基に通常のたんぱく質か、病気で細胞内に生じたたんぱく質かを素早く見極めるのに優れた手法だ。 膨大なサンプル数の分析が必要な新薬開発に当たって、まずプロテオーム解析でポイントをつかみ、アミノ酸配列分析で精査する形を取れば開発スピードを大幅にアップできる。「両方の分析サービスを手掛けているのはまだ珍しい」。現場を取り仕切る真島英司取締役は自社の強みをそう話す。 小鳴門海峡を間近に臨む鳴門複合産業団地(鳴門市瀬戸町)。バイオテクノロジー市場の急拡大に合わせて同社はいまハード・ソフト両面で体制整備を急いでおり、今年末にはその象徴ともいえる新社屋が同団地内に完成する予定だ。既存の分析の受託サービスから大学などをパートナーに創薬分野に事業領域を広げていく構想を描いており、研究環境を整える狙いがある。 新社屋の完成を前に約一億二千万円を投じて最新鋭の質量解析装置なども昨年導入、陣容の面でも総勢十七人の社員のうち研究部門に三人を配置する重点シフトを取っている。来春も五人を補充する方向で人員計画を詰めており、現在の”本業”である受託サービス部門の十二人に追いつくのもそう遠くなさそう。 その先に見据えているのは二〇〇四年中の株式公開だ。同時点の直近決算期になる二〇〇四年四月期で売上高三億七千万円、経常利益一億円を見込んでいる。 目標実現に向けて昨秋には米の研究試薬メーカー、プロメガ・コーポレーションの日本法人と販売提携。従来の提携先と合わせて現在二社を窓口に大学・製薬会社向けの営業活動を展開している。競争原理の導入でシェア拡大に弾みをつける作戦で、今期中には自前の営業部員も取りあえず一人確保する予定。 「受託解析サービス市場の規模はまだ小さいが、今後製薬会社などを中心にアウトソーシングの流れに加速がつき、五年以内に百億円市場になる」と真島氏は読む。持てる経営資源をどう適正配分して自らに課した二年後の株式公開という目標を実現するのか、同社は第二の創業期を迎えようとしている。 2002年5月16日(木) 日本経済新聞 |