
|
|
日経新聞2000年(平成12年)2月29日(火曜日)
アプロサイエンス アミノ酸配列を特定
年間約50種類のタンパク質発見
地方の独創企業 鳴門市(徳島県)
ヒトの遺伝子を解読するヒトゲノム解析計画が日米欧で進み、全遺伝子の構造が明らかになろうとしている。生命科学の分野では遺伝子構造が決定されると、次は遺伝情報に基づいて作られるたんぱく質の構造と機能の解明が焦点になると見られている。未知のたんぱく質には人間に有用なものが無数にあるといわれ、構造が分かれば複製して商品開発に利用することも可能だからだ。
●大学・企業から受託
アプロサイエンス(徳島県鳴門市、金敦祚社長)はたんぱく質の内部構造分析の受託で業績を伸ばしている。従来の一般的な方法の約50倍の精度でたんぱく質のアミノ酸配列を特定する方法を開発、微量にしか存在しないたんぱく質も分析できるので、発注者は全国の大学や研究機関、企業に広がっている。
たんぱく質は20種類のアミノ酸が鎖状につながったひものような構造。アミノ酸配列を分析する従来の一般的方法では、試料たんぱく質のペプチド(アミノ酸が結合した分子)を配列分析装置にかけ、ペプチドの「N末端」と呼ばれる外側の部分からアミノ酸を順次特定するが、N末端が化学反応で別の物質と結合すると配列を分析できない。結合する確率は50%を越え、N末端から分析できる可能性は半分以下になる。
●微量試料でも分析
アプロサイエンスはN末端以外のペプチド内部のアミノ酸配列を高精度で特定する。たんぱく質を酵素で断片に分離してからペプチドを検出し、2ピコモル(モルは物質量の単位、ピコは1兆分の1)の試料たんぱく質でアミノ酸配列を分析する。
内部配列分析を事業化している企業はほかにもあるが、一般的に分析には100ピコモル程度の試料が必要とされる。アプロサイエンスが微量の試料でも分析できるのは「一連の作業に必要な酵素や機材の使い方に独自のノウハウがある」(真島英司取締役生命科学研究所長)ため。
ペプチド検出効率と分析精度を向上させ、微量にしか存在しないたんぱく質の分析を可能にした。従来の方法で分析したものも含め、昨年だけで約50種類のたんぱく質を発見した。
1990年の設立以来、徳島で真島所長が統括するバイオ関連事業と大阪で金社長が統括する計測制御システム開発という異質の2分野を手掛けてきた。アミノ酸配列分析は登記上の本社である生命科学研究所で94年に始めた。2000年4月期の分析件数は500件、売上高は前年比1,000万円増の8,000万円の見込み。
●5月に最新分析器
今年5月には1億円を投じて最新鋭のペプチド質量分析装置を導入する。手作業に頼る部分が多い分析過程の機械化を進め、受託件数の増加に対応する。
分析受託と並行して、たんぱく質を自社で商品化する研究も進めている。「地球上のたんぱく質なら何でも分析できる」(真島所長)と自負する技術力で未知のたんぱく質を発見し、自社名義で特許取得する戦略だ。(徳島支局 柴崎光弘)
|
|
|
|